美術品としてのリトグラフの価値

リトグラフは版画の一つの方法ですが、他の印刷方法よりもずっと手が込んでいます。
石板を平らにし、それに油と水の相性の悪さを使い、印刷できるようにするのです。
原画をもとに、手仕事で書き写し、職人が製版し、それを人の手を使って擦ります。
それを1枚1枚行うわけですから、非常に手間暇がかかるのです。
それに、どこの工房で制作するかによって、出来不出来というものもできます。
有名な工房であれば、世界中からリトグラフにして欲しいという依頼が来るため、職人も大忙しという状態です。
リトグラフは、人の手仕事であるため、大量に擦ることはできません。
だいたい100枚や200枚、多くて300枚ほどしか擦られないことが多いのです。
そのため、原画ではありませんが、美術品としての価値が高く、貴重な絵画として流通しています。
原画の価値はもちろんですが、どこの工房で制作されたのか、そして何枚擦られているのかなどで、その価値は違ってくるのです。