絵画のリトグラフという手法について

リトグラフとは、簡単にいえば版画の一種で、水と油の反発作用を利用されています。
石灰石や金属板などといった平板の上に、解墨鉛筆のような油性のもので絵を描き、その上に滑石粉末を撒布した後に少量の硝酸が加えられたアラビアゴム液を塗る事で、柄の部分のみを浮き上がらせます。
これを紙に転写する事で、刷りあげる手法になります。
近年ではアルミ板が主に用いられています。
他の版画に比べると、手間のかかる手法ではありますが、クレヨンや筆、ペン等といった様々な材質のもので描く事が出来る事が可能です。
このため、タッチや風合いををそのまま表現する事が出来る事が大きな魅力となります。
また、回を重ねることに増す、艶や風合いもさらなる味わいとなります。
リトグラフの技法が使われるようになったのは、19世紀のヨーロッパが始まりです。
偶然発見されたこの原理を用いて、1798年にはアロイス・ゼネフェルダーによって石灰岩を用いた平版印刷が発明されています。
そののち、ヨーロッパで広く用いられるようになるリトグラフは、後に「ドイツで発明され、フランスで芸術となった」と称される通り、特にフランスのロマン主義の画家たちによって利用されることになります。
リトグラフ技法を用いた有名画家としては、マルク・シャガール、パブロ・ピカソ、エドヴァルド・ムンク、ノーマン・ロックウェル等が挙げられます。
日本人画家にも、東山魁夷や石井柏亭など多くの画家がいます。