オリジナルリトグラフというのがありますが、これがいわゆるリトグラフというものです。
リトグラフであれば、原版さえあれば大量に印刷をすることができます。
それと似たようなものに、複製画があります。
しかし、芸術の世界において、オリジナルリトグラフと複製画では、オリジナルリトグラフのほうがはるかに価値があるのです。
それは、オリジナルリトグラフならではの定義があるからです。
まず、オリジナルリトグラフは、版画を制作する目的で作家が下絵から製版まで行ったものです。
一方、複製画の場合、作家がいなくてもできるものです。
これが最も厳密なオリジナルリトグラフの定義です。
ただし、なかなかそんな厳密なリトグラフはできません。
作家自身が刷ったり、あるいは作家の監督下で、職人がその通りに刷ったものに関しても、オリジナルリトグラフと認められています。
また、印刷の段階で作家自身が関与していなくても、その完成した作品の一枚一枚を作家自身が容認すれば、それもオリジナルリトグラフです。
そして、完成した版画の左下には、シリアルナンバーを入れて、右下には自分のサインを入れることも、オリジナルリトグラフです。
中には例外もありますが。
あらかじめ決められた枚数しか刷らないのも、オリジナルリトグラフの特徴です。
そのため、決められた枚数を印刷し終えた原版は、斜線を入れたり穴をあけたりして、二度と印刷できないようにします。
そうすることで「海賊版」を防ぐのです。